Strength

当社の特長

STRENGTH 3 事例


東京電力ホールディングス株式会社

世界に例のない挑戦を、計画的かつ着実に。
福島第一原発の廃炉を支える、高度なプロジェクトマネジメントと
揺るぎないパートナーシップ。

東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力)は、福島第一原子力発電所の廃炉という、世界でも類を見ない国家的かつ長期にわたるプロジェクトに挑んでいる。
高線量環境下での作業、将来予測が難しい技術課題、多数の関係者による同時並行のプロジェクト運営など、そのマネジメントの難易度は極めて高い。
TIS千代田システムズは、2020年よりプロジェクトマネジメントの高度化を支援する伴走パートナーとして参画。約20名のメンバーが現地に常駐し、工程の見える化から、課題の早期発見・分析への貢献、将来に向けた実績データの活用まで、高度なマネジメント支援を行っている。
前例のない挑戦を推進する東京電力プロジェクトマネジメント室の皆様に、取り組みの詳細と今後の展望を伺った。

Summary

  • 廃炉プロジェクトの高度なマネジメント支援を展開。
  • 不確実性の高い現場における"気づき"を、東京電力へ的確に報告。
  • プロジェクトマネージャの負荷を軽減し、主業務への集中に貢献。
  • 工程情報の一元化により、将来的な世代交代時の知見継承を可能に。
  • 廃炉達成のゴールに向け、長期伴走を継続。

背景

本プロジェクトにはどのような特殊性・難しさがあるのでしょうか?


東京電力ホールディングス
株式会社
福島第一廃炉推進カンパニー
プロジェクトマネジメント室
プロジェクトマネジメント
総監グループ
マネージャー
川枝 浩氏

川枝:東京電力は、2041〜2051年の完了を目標とする国のロードマップに基づき、世界的にも前例のない廃炉事業に取り組んでいます。一般的な建設プロジェクトとは異なり、現場の状況に応じて計画や工法を見直しながら進めていく必要があり、この不確実性の高さこそが本プロジェクトの難しさの本質です。
現場は大きく5つの「プログラム」(汚染水対策、使用済み燃料の安定移動、燃料デブリ取り出し、放射性廃棄物の安全管理、敷地利用環境などのインフラ整備)に分かれています。これらテーマのもと、大小約40のプロジェクトが同時並行で進行中です。多くのパートナー企業に協力いただいており、1日約5,000人の作業員が従事する非常に大規模な現場です。

髙橋:私たちプロジェクトマネジメント室(以下、PMO)は、これら5つのプログラムを横断的に監督・サポートしています。現場で起きた課題やスケジュールの遅れなどを吸い上げて解決を図ったり、関連部門間の調整を行ったりするのが主な役割です。
本日のメンバーのうち私と宮田は現場である福島第一原子力発電所(以下、1F)に常駐し、川枝は本社側でプロジェクト全体のモニタリングを担当しています。


東京電力ホールディングス
株式会社
福島第一廃炉推進カンパニー
プロジェクトマネジメント室
副室長
髙橋 嘉明氏

マネジメント上どのような課題があり、TIS千代田システムズの参画に至ったのでしょうか?


東京電力ホールディングス
株式会社
福島第一廃炉推進カンパニー
プロジェクトマネジメント室
プロジェクトマネジメント
総監グループ
プロジェクト情報管理
チームリーダー
宮田 達也氏

宮田:通常の廃炉は、安全に作業を進めるための手法や手順がある程度確立されています。しかし、1Fの廃炉は世界的にも前例がない特殊な状況下での作業であり、過去のリファレンス(事例)が存在しません。そうした不確実性の高い環境の中で、数十年にわたり複数のプログラム・プロジェクトを統合管理していく必要があります。一方で不確実性が高いがゆえ精度の高い工程管理を続けることは容易ではありません。また、各プロジェクトチームが異なるツールで工程管理を行った場合、フォーマットや管理ルールにバラつきが生じ、全体工程の集約や状況把握に多大な手間と時間がかかってしまいます。そこで2017~2019年にかけて、海外の原子力発電所廃炉プロジェクトでの採用実績を持つ工程管理ツール「Primavera P6」(以下、P6)の導入を、TIS千代田システムズの支援のもと進めました。その後2020年からは、TIS千代田システムズとの協業を工程管理支援へと発展させ、プロジェクトマネジメントのパートナーとして継続的な支援を受けています。

● 「Primavera P6」について
プラントや空港建設など、巨大プロジェクトの工程管理におけるグローバルスタンダードのソリューション。
全体を数万件もの細かな作業(タスク)に分割して階層管理し、タスク同士の複雑な依存関係や、全体工期に直結する重要工程(クリティカルパス)を可視化。不確実性の高い現場でも高度なマネジメントを可能にする。
https://www.tc-systems.co.jp/service/pm/primavera-p6/

伴走

プロジェクトにおけるTIS千代田システムズの役割をお聞かせください。

宮田:1Fの廃炉は、前例のない大規模のプロジェクトであるため、現場で各チームが稼働を始めた段階から課題は山積みでした。計画どおり進められる作業がある一方で、中には不確実性を伴う作業もあり、状況は刻々と変化します。そうした環境下で、プロジェクトの工程管理に対する要求も高度なものになっていき、費やす負荷も大きく重いものになっていきました。

髙橋:そこで合理的な判断として、TIS千代田システムズに「プロジェクトマネジメント支援」を依頼することにしたのです。現在は、約20名のTIS千代田システムズのメンバーが現地に常駐し、我々と同じ目線で約40プロジェクトのうち30のプロジェクトに伴走してくれる体制が組まれています。

山口(TIS千代田システムズ):私は1Fの現場で常駐メンバーのプロジェクトリーダーとして現場を統括しています。常駐メンバーは、P6の操作支援・情報更新だけでなく、工程の遅れやリスクの背景にある課題を可視化し、東京電力様への報告を行うなど、一歩踏み込んだ高度な工程管理支援に従事しています。

そうした高度な工程管理支援は、東京電力様にとってどのように役立っていますか?

川枝:日々の業務を通じて、「プロジェクトのどこに管理上の課題があるか」を見つけた場合、私たち総監グループへ的確に報告してくれます。それにより、たとえば工程に遅れが発生している際は、我々が「現場の問題か、マネジメントやコミュニケーションの問題か」を分析する最初の切り口となるため、課題の兆候を早い段階で把握し、迅速かつ適切な対策の実施につなげることができ、非常に助かっています。

髙橋:また、並行する多数のタスクの中から「問題を抱えているタスクは何か」「どこがクリティカルパスか」を見極めて助言してくれる横断的な視点も心強いですね。こちらが望んだこと以上に、先回りして動いてくれるTIS千代田システムズは、PMOにとって非常に頼もしい存在です。

TIS千代田システムズの提供する全社PMO支援領域

効果

TIS千代田システムズの伴走で、各プロジェクトチームにどのような効果が出ていますか?

宮田:最大のメリットは、各プロジェクトマネージャーの負荷を大幅に軽減できる点です。P6の操作入力はもちろん、工程管理に関わる実務全般で余力が生まれることで、現場のマネージャーは「状況を把握し判断する」といったマネジメント業務をはじめ、設計管理、現場監理、安全対策などの業務にしっかり時間をあてられるようになっています。

工程の情報を一元管理することで、どのようなメリットがありますか?

宮田:多くのタスクやステークホルダーが複雑に絡みあうプロジェクトなので、"ある1つのタスクの遅れが他にどう影響するか"を素早く把握できなければ、廃炉工程全般をグリップすることが難しくなってしまいます。これを一般的なExcelのガントチャートなどの手作業で管理しようとすると、膨大な手間がかかってしまいます。
その点、P6は日々の正確な実績データを蓄積していくことで、複雑な依存関係も把握できるようになります。膨大な蓄積情報を、将来の廃炉作業に知見としてどう活用していくか、現在TIS千代田システムズと模索しているところです。

川枝:プラットフォームに蓄積される実績データは、当社にとって大きな財産です。ツール選択や入力ルールを現場任せにした場合、データの精度にバラつきが出がちですが、TIS千代田システムズのメンバーが高い精度で運用してくれているからこそ、データの価値が高まるのだと思います。数十年におよぶ長期プロジェクトの中で、チームメンバーの世代交代があった際も「過去の経緯が分からない」というリスクを防げるのも大きなメリットです。

展望

廃炉達成のゴールに向け、TIS千代田システムズへの期待をお聞かせください。

宮田:これからいよいよ、最難関の燃料デブリの取り出しが本格化していきます。マネジメントレベルをさらに一段引き上げ、不確実なリスクを事前に察知・回避できるよう、TIS千代田システムズの高度な支援に大きく期待しています。

川枝:今後もプロジェクトを支える"縁の下の力持ち"として伴走していただきたいですね。我々が何より重視しているのは、地に足の着いた「安全で着実な廃炉」に他なりません。一歩ずつ前進させ、地域の復興と安心に貢献していきます。

髙橋:P6の高度なスキルと、大規模プロジェクトマネジメントのノウハウを併せ持つTIS千代田システムズは、なくてはならないパートナーです。長期のプロジェクトだからこそ、互いに自立したプロとしてそれぞれの責任を果たし、リスペクトしあえる関係で末永く歩んでいきたいですね。

Company Data

東京電力ホールディングス株式会社
本社:東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
設立:1951年
事業内容:総合エネルギーサービス
URL:https://www.tepco.co.jp/

TIS千代田システムズ担当者より

パートナーとして対等な立場で接してくださる、東京電力様の真摯な姿勢に心より感謝いたします。新しいプロジェクト管理の取り組みについて直接ご相談いただけるのも、日頃の信頼関係の証だと実感しています。
現場に常駐するメンバーには、お客様とともに考えて解決策を提案する力や、現場の気づきを的確に伝える力が求められます。今後もそのご期待に応え、安全・着実な廃炉に貢献してまいります。

TIS千代田システムズ株式会社
電力プロジェクト部 部長
石橋 延浩

単なる作業支援にとどまらず、プロジェクト全体の運営や工程管理改善に貢献できていることに大きなやりがいを感じています。
これまでは個々の力量に依存しがちだったプロジェクトマネジメントですが、共通化・標準化を図るフェーズに入ったと思います。個人の経験・暗黙知に基づく判断基準を標準化し、チームで再利用できるようにすることでマネジメントの質を高め、次世代へとつながる永続的な活動を実現していきます。

TIS千代田システムズ株式会社
電力プロジェクト部 プリンシパル
山口 亮二

※掲載されている情報は、2026年10月現在のものです。 
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